チャーミーは、どこで何を食べたのか、朝起きたら、フラフラと横歩きをしていました。その日は、大事なバレーの発表会のリハーサルで、わたしは必ず行かなければなりません。チャーミーは、げんかんでくびをかしげて、
「もう会えないから、行かないで。」
というような顔をして、わたしを見送ってくれました。帰って来た時にはもう歩けるじょうたいではありませんでした。お父さんは、
「ああ、もうこれはだめだ。」
と言って
「はこの中にそっと入れてしずかにして、みまもってあげよう。」
と言いました。でも、いのりはとどかず、チャーミーは死んでしまったのです。
チャーミーは、まよって来たねこで、家族全員でかわいがっていたねこでした。わたしはその時は、まだ一人っ子だったので、兄弟のようにかわいがっていました。わたしとお母さんはごはんも食べず、ないてばかりの日が一週間も続きました。
この本のゾウのジョン、トンキー、ワンリーは、戦争で、もしも動物園にばくだんが落ちたら、おりがこわされて、動物たちが町であばれたらたいへんなことになるということでころされることになりました。ゾウはりこうで、どくが入った物は食べません。また、体のかわもあつく、ちゅうしゃもすることはできませんでした。だから、えさをあたえないでころすことにしたのです。
しいく係の人は、やせていくゾウたちを見るのがどんなにつらかったことかと思います。毎日、いっしょに生活していると自分の子どものようにかわいくなってくるので、むねがはりさけるほどつらくなって、ぞうを見に行くこともできなくなったのです。
わたしは、ペットのチャーミーの死があまりにもかなしかったので、しいく係さんのくるしみがわかるような気がしました。わたしのチャーミーは病気だったけれど、病気でもない動物をころさなければならないのだから、わたしよりずっとつらかったでしょう。
動物園の動物たちが、ころされた原いんは、戦争です。戦争は、たくさんの人の命もうばったし、なにも知らない動物たちの命もうばったのです。どうして戦争がおこったかは、わたしにはまだわかりませんが、多くの命がなくなったことは、とても悲しいことだと思います。どんな小さな虫でも動物でも命があるのだから、命をそまつにするようなことはしてほしくありません。
死んでしまったゾウのトンキー、ワンリー、ジョンがみんなを楽しませるように天国で芸をやっていてくれればいいと思います。