2019/07/25

「かもめのジョナサン」を読んで【中学生用】

 今、私の胸の奥深くで小さな鈴が鳴り響きました。そして、「いてもたってもいられない、自分も他の事が目に入らないほど、人に何んて言われようと、やり通すことの出来る何かが欲しい。」そんな思いが、私の体の中をかけめぐっています。
 この話を読んでいると、なんだか今の世の中をみているような、そんな気がしてなりません。
 例えば、ある一定のまとまりで、突拍子もないことをしでかす人がいると、「あいつはちょっとおかしい、あいつは……。あいつは……」などと後指さされて生きていかなければなりません。だから、無理にでも、小さくつまらない型にはまろうとするのです。自分の意志を押し殺し、有望な可能性を秘めたまま、一度きりの人生に華を咲かす事の出来なかった人は、数えきれないほどたくさんいることでしょう。ジョナサン・リヴィングストンも、また、挫折し、哀れな者達の仲間入りをしそうになりました。しかし、彼には「早く飛ぶ。」という事が全てだったのです。だがらこそ、「自分は必ず早く飛べるのだ。」と信じ続け、自分の能力を最大限に生かし、一回りも大きくなれたのでしょう。この時の彼は輝いて見えました。たとえ、実際にその姿が見えなくても、心の目さえあいていれば、彼の輝いている姿がみなさんにも見えてきます。熱中できるものがあるということを、こんなにまで、素晴しく、うらやましく感じたことはありません。
 自分の願いをかなえる為には、言葉で表せないような苦労もあることでしょう。しかし、その願いが、かなえられた時には、その苦労は、自分が生きていく上で、欠くことの出来ない大切なエネルギー源とかわるのです。私には、そのような経験が一度もありません。いいえ、経験する前につらく苦しい時の自分から逃げ出し、楽な方へと自分を流しているので、経験が出来ないのです。そして、熱中できるものさえ、みつけられないのです。こんな自分があまりにも弱く味気ないことに気付かされました。周りの大きな流れに流され、このような自分に至ったのです。私は、今年、中学三年生で、初めて選択者の立ち場に立っています。この大事な時に、周りに流されているようでは、この先が不安で不安でたまりません。だから、ここで自分の目標を、熱中できるものをしっかり見つけ出さなければいけません。今が私の正念場なのだから。
 また、ジョナサンは、チャンとの出会いで愛のある世界に気づき、彼がふりむきもしなかった別世界も知ることが出来ました。翼をはばたかす技術だけでは早く飛べないということも教わりました。心と体が一体となってこそ初めてジョナサンの真の目標にたどりつけたのです。
 この本で読んで幾つもの事を教わりました。口では言えない何かを、愛と自由とが両立している世界がどういうものかを。
 これからは、ジョナサン・リヴィグ ストンは、私にとって尊敬する先生であり、生涯を連れ添う友という存在でもあります。
 今でも、私のように周りに流されている人達が、たぶんたくさんいることでしょう。だから、この感動を、もっと多くの人々に伝えることによって、自分の意志をしっかり持てる、そんな強い人達を増やし、誰もが自己を主張できる世の中に、みんなで協力し、変えることが出来たらよいと思います。
 ようやく、私の胸の奥で眠っていたジョナサンが、目覚めたようです。

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